はじめに
Metaが発表したAIペット「Muse Charm」が話題になっています。この可愛らしいデバイスは、まるで現代版タマゴッチのよう。しかし、実は50ドルで自作できることをご存知ですか?中国製の開発キット「Waveshare ESP32-S3 1.75C」を使えば、Metaのオープンソースコードをベースに、自分だけのAIガジェットを作れます。
Muse Charmのコンセプトは、AIアシスタントに「愛着」を持たせること。Meta Connectで披露されたデモでは、丸みを帯びたフォルムと表情豊かなアバターが印象的でした。しかし、こうしたコンシューマー向けガジェットは往々にして機能が限定されているもの。自作ならではの自由度の高さが大きな魅力です。
開発キットの基本仕様
Waveshare ESP32-S3 1.75Cは、1.75インチの円形タッチスクリーンを搭載したウェアラブルデバイス。ESP32-S3チップを採用し、Wi-Fi/Bluetooth接続が可能です。外観はシルバーの金属製ケースで、一見すると高級感のあるポケットウォッチのよう。バッテリー駆動時間は約8時間で、USB Type-Cポートで充電します。
自作Muse Charmの誕生
開発キットは1.75インチのタッチスクリーン付きペンダント型。最初はただの金属製ポケットウォッチのように見えましたが、MetaのGitHubにあるコードをClaudeに解析させ、Muse AIと連携させることで、本家さながらの機能を実現しました。セットアップはPCに接続するだけと簡単ですが、初期状態では音声認識がうまく機能せず、反応も遅いという課題がありました。
初期設定時、Museは音声コマンドを文字起こしリクエストと誤認識することが多かったとのこと。また、画面表示も一度に数単語しか表示されず、会話の流れを追うのが困難でした。これらの課題は後述のカスタマイズで解決していきます。
Claudeコードで機能拡張
最大のポイントは、プログラミング経験がなくてもClaudeを使えば自由にカスタマイズできる点です。私たちは次の機能を追加しました:
- 会話履歴表示機能(スワイプ操作で過去の対話を確認可能)
- ElevenLabsの英国風AI音声(無料版で最も自然な声質を選択)
- リモートカメラシャッター(部屋の向こうから撮影可能)
- タマゴッチ風育成ゲーム(複雑な状態管理を実装)
特に育成ゲームは、餌やりや遊び、睡眠、お風呂など本格的なペット育成要素を実装。飽きさせないために4段階の空腹度・退屈度・汚れ度も追加しました。
具体的には、おやつを与えると「カリカリ」と音を立てて食べ、その分汚れが増える仕様に。遊びすぎると疲れて眠くなるなど、リアルなペットの挙動を再現しています。
追加実装した便利機能
- ポケットウォッチ表示: 実際に時計として使えるよう、3本針のアナログ時計を15分で実装
- 動画再生機能: Meta Connectの紹介動画をトリミングしてデバイス上で再生可能に
- 音声送信最適化: 1秒未満の短い音声を送信しないように修正
- カメラプレビュー: Bluetooth経由で低画質ながらリアルタイムプレビューを実現
本家との比較
公式Muse Charmにはカメラや5G通信機能がありますが、自作版は以下の点で優位性があります:
- 完全なプログラミング自由度(公式製品では制限される可能性)
- 追加コストなしのカスタマイズ(サービス課金なし)
- プライバシー保護(ゲストWi-Fi接続でリスク軽減)
ただし、Metaサーバー依存の遅延や、音声認識の精度など改善の余地は残っています。特にサーバー側のレスポンスタイムは一定ではなく、時々顕著なラグが発生します。
スマートホーム連携の可能性
現状ではAmazon EchoやGoogle Homeのような自動デバイス検出機能はありません。しかしClaudeコードを追加すれば、理論上はスマートホーム制御も可能。実際に私たちは、部屋の向こうからスマホカメラを操作する機能を実装しました。
カメラ機能では、当初はフロントカメラの映像が上下逆転表示される問題がありましたが、Claudeの助けを借りて修正。Wi-Fi接続がなくてもBluetooth経由で低画質のプレビューが可能です。
セキュリティとプライバシー
MetaのMuse AIがレビュアーの自宅アドレスを漏洩した事例を考慮し、自作版ではゲストWi-Fiネットワークを使用。また、個人データの扱いに不安があるため、メールやメインのホームネットワークとは接続していません。
プログラミングの難易度
筆者はプログラミング経験がありませんが、Claudeとの対話だけで必要な機能を実装できました。コードの品質保証はできないものの、とにかく動くものが作れるのが魅力です。例えば、動画再生機能の実装では、Claudeが適切な動画プレーヤーライブラリを選択し、メモリ制約内で動作するよう最適化してくれました。
まとめ:作る価値はあるか?
自作Muse Charmの最大の魅力は「学びの体験」です。50ドルと少しの時間を投資すれば:
- AIガジェット開発の基礎が学べる
- 自分好みの機能を自由に追加できる
- 今後のAI製品をより深く理解できる
公式製品の発売を待つよりも、まずは開発キットで遊んでみることをおすすめします。プログラミング未経験者でも、Claudeの助けがあれば十分楽しめるプロジェクトです。
完成品の利便性もさることながら、自分で作り上げる過程そのものが貴重な経験となります。AIガジェットの仕組みを理解したい方、カスタマイズ性を重視する方には特におすすめできるプロジェクトです。

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