AIが数学の世界を揺るがしている
ここ1年ほどで、OpenAIやAnthropicなどのAI企業が、長く未解決だった数学の問題で次々と成果を発表しています。その中には、数学の7つの「ミレニアム懸賞問題」の1つの解決も含まれます。一方で米The Vergeは、AI企業が「シリコンバレー流」に急ぎすぎた結果、本来なら祝われるはずの成果が数学界の反発を招いていると伝えています。
これまでの流れ
- 8月:OpenAIが、長年解けていなかった数学の問題10件を解いたと発表しました。
- 9月8日:OpenAIが、流体の動きを表す「ナビエ・ストークス方程式」の問題を解いたと発表しました。ミレニアム懸賞問題の1つで、懸賞金は100万ドルです。公開中のGPT-6 Astraより強力な社内モデルと、同時に動く1万のエージェントを使ったと説明しています。
- 9月:ほかの研究者が進めていた問題に駆け込みで取り組んだのではないか、未発表の研究を学習に使ったのではないかと、数学者から批判が相次ぎました。
- 9月下旬:OpenAIが、数学者でつくる独立した助言グループ(AGMAI)を立ち上げ、成果の発表のしかたについて意見を聞くと発表しました。
数学者が気にしていること
The Vergeによると、数学者の不安は成果そのものよりも、その進め方に向いています。ロンドン大学クイーン・メアリー校のアビシェーク・サハ教授は、OpenAIが「数学者がふつうはしないこと」をしたと話しています。また数学者のアンドレアス・トム氏は、OpenAIの成果の1つが、自分たちとChatGPTのやり取りをもとにしているのではないかと指摘し、学習データの透明性を問題にしています。
追記(10月20日)
この記事の公開後、OpenAIは10月6日に、未公開モデルが書いた722本の論文(372の結果群)をGitHubで公開しました。成果1件あたりの計算量は、平均でChatGPT Proの約3時間分の思考に相当するとしています。The Vergeが話を聞いた数学者たちは、内容を理解するだけで何年もかかると口をそろえています。
10月15日には、Simons財団が主導する1,500万ドルの取り組みに、OpenAIが500万ドルを出すと報じられました。AIが出した研究結果を数学者が読み解くのを支える資金で、Anthropicも資金を出しています。
まとめ
AI企業は過去の失敗から学ぶと言っていますが、それが実際に形になるかはまだ分かりません。成果のスピードに、数学界の確かめる仕組みが追いつけるかが問われています。
出典:The Verge「All the drama around AI’s takeover of mathematics」


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