数学者たちが言葉を失った
「驚異的」「圧倒的」「前例がない」「現実感がない」「純粋な狂気」——。The Vergeが話を聞いた36人を超える数学者は、OpenAIが10月6日に公開した数学の成果をこう表現しました。反応はさまざまでしたが、公開された内容を理解するだけで何年もかかるという点では一致しています。
目を通すだけで1時間
OpenAIが公開したのは、700本を超える論文にまたがる400件近い成果です。多くの数学者は、約40ページある目次と要旨を読むだけで1時間近くかかったと話しています。コネチカット大学のアルバロ・ロサノ=ロブレド教授は「要旨の一覧を見るだけで圧倒される」と語りました。
「正しいかどうか分からない」
証明をコンピューターで確かめられる言語「Lean」での形式化は、全体の半分に届いていません。インペリアル・カレッジ・ロンドンのケビン・バザード教授は、専門の代数的整数論で目を引く定理を6つほど見つけたものの、ほとんど形式化されておらず、「正しくないかもしれない文章を読むか、誰かが確かめるのを待つしかない」と話しています。ブラウン大学のブレンダン・ハセット教授も、自分がよく知る問題の論文は「ざっと読んだ限り、ほとんど意味が通らなかった」と述べています。
一方で、本物の成果も
それでも多くの数学者は、内容そのものは非常に水準が高いと見ています。AI以前なら一流誌に載り、研究者としての地位を固められるほどの成果が多く、フィールズ賞級と評されたものもあります。スタンフォード大学のジャレッド・ダッカー・リクトマン氏は、そうした成果が「数十件」あるとし、リーマン予想への前進、ホッジ予想の特別な場合、4次元の掛谷予想の解決を挙げました。
消えた研究計画
影響は研究者のキャリアにも及んでいます。セント・アンドルーズ大学のコルバ・ロニー=ダウガル教授は「友人や同僚の研究費の申請がいくつも吹き飛んだ」と話しました。ナビエ・ストークス問題をめぐる論争の中心にいたニューヨーク大学のトリスタン・バックマスター氏も、「研究計画を丸ごと失った人を3人知っている」と述べています。特に確率論、組合せ論、理論計算機科学の研究者が強い衝撃を受けているといいます。
まとめ
多くの数学者が心配しているのは、自分たちが内容を確かめ終える前に、OpenAIが次の成果を出してしまうことです。AIが出す成果のスピードに、人間の確認がどう追いつくかが問われています。
出典:The Verge「’Pure insanity’: Mathematicians will need years to make sense of OpenAI’s latest drop」


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